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塩瀬総本家──和菓子の原点とされてきた老舗の静かな品格
日本の和菓子文化を語る際、しばしば「原点」として名が挙がる存在が塩瀬総本家です。創業は14世紀、室町時代にまで遡ると伝えられ、饅頭を日本に広めた店として知られてきました。時代の移ろいとともに嗜好や菓子の姿は変化してきましたが、その根底にある精神や技は、今日まで大切に受け継がれているとされています。
公家文化とともに育まれた菓子屋の系譜
塩瀬総本家の歴史は、禅僧によってもたらされた菓子文化と深く関わっていると伝えられています。中国から伝来した点心をもとに、日本人の味覚や風土に合わせて饅頭が洗練されていった過程に、塩瀬の存在があったと語られることが多いようです。
とりわけ公家や武家、茶人たちに菓子を納めてきた歴史は、単なる菓子屋という枠を超え、文化の担い手としての役割を感じさせます。格式ある場で求められる控えめな甘さや端正な姿は、そうした背景の中で磨かれてきたものと考えられます。
饅頭という菓子に込められた美意識
塩瀬総本家を象徴する菓子として知られるのが「志ほせ饅頭」です。小ぶりでありながら、皮と餡の調和を重視した仕立ては、華美ではなくとも凛とした存在感を放つものとして受け止められてきました。甘さを抑え、素材の持ち味を生かす姿勢は、長い年月を経ても色褪せない価値として評価されているようです。
また、上生菓子においても、季節や自然を題材にした意匠が丁寧に表現され、茶席や改まった場面で用いられてきました。見た目の美しさだけでなく、口に含んだときの余韻まで含めて一つの完成形とする考え方は、日本的な美意識そのものと重なります。
静かに伝える、贈答としての和菓子
塩瀬総本家の菓子は、派手さで印象づけるタイプの贈り物ではありません。むしろ、相手の背景や場面を選ばず、静かに心を伝える存在として選ばれてきたとされています。弔事や改まったご挨拶など、言葉を抑えたい場面においても、過不足のない品格を備えている点が評価されてきた理由の一つでしょう。
和菓子は消えものではありますが、その一瞬に込められた心遣いが、相手の記憶に長く残ることがあります。塩瀬の菓子が「間違いのない選択」として語られる背景には、そうした安心感があるように思われます。
伝統を守りながら、現代へ
現代では、公式サイトを通じて全国から菓子を取り寄せることができ、老舗の味に触れる機会は以前よりも広がっています。それでもなお、塩瀬総本家が大切にしてきた姿勢は、量や話題性よりも質を重んじる点にあると感じられます。流行に迎合するのではなく、長く続いてきた型を磨き続けること。その積み重ねこそが、今日まで暖簾を守ってきた理由なのかもしれません。
塩瀬総本家は、日本の和菓子が持つ奥ゆかしさと精神性を今に伝える存在です。特別な贈り物を探しているときだけでなく、日本文化の一端に触れたいと感じたときにも、思い起こされる老舗として、これからも静かに選ばれ続けていくと考えられます。
画像公式サイト:https://www.shiose.co.jp/


