

明治のはじまりから続く、近江牛の原点に触れる — 松喜屋【すき焼き・しゃぶしゃぶ】
滋賀・大津の地に暖簾を掲げる松喜屋は、近江牛の魅力を語るうえで欠かすことのできない存在として知られてきました。創業は明治初期。まだ牛肉食が一般的でなかった時代に、近江牛の価値を見極め、その美味しさを世に伝えてきた老舗です。
現在では「すき焼き」「しゃぶしゃぶ」といった、日本の食文化を象徴する料理を通して、上質な近江牛の持ち味を丁寧に届け続けています。
近江牛とともに歩んできた歴史
松喜屋の歩みは、そのまま近江牛の評価の歴史と重なる部分が多いとされています。きめ細かな霜降り、口に含んだ瞬間に広がる旨味、後味の軽やかさ。そうした特長を、もっとも素直に味わえる料理として選ばれてきたのが、すき焼きやしゃぶしゃぶでした。
長年にわたり牛肉を扱ってきた目利きと経験が、肉質の個性を見極め、最適な状態で提供することにつながっているのでしょう。
素材を引き立てる、すき焼きとしゃぶしゃぶ
松喜屋のすき焼きは、割り下の主張が前に出過ぎることなく、あくまで主役は牛肉。火入れの加減や煮込みすぎない配慮によって、近江牛ならではのやわらかさと甘みが引き出されていると感じられます。
一方、しゃぶしゃぶは、薄く引かれた肉をさっと湯にくぐらせることで、脂の質の良さがより際立つ食べ方。余計な演出を加えず、素材そのものに向き合う姿勢が伝わってきます。
空間がもたらす、もうひとつの価値
本店は瀬田川の流れをほど近くに望む場所にあり、落ち着いた佇まいの中で食事を楽しめるのも魅力のひとつです。個室やカウンターなど、用途に応じた空間が用意され、会食や大切な席にも選ばれてきました。
料理だけでなく、時間の過ごし方そのものを整えてくれる点も、老舗として評価され続ける理由なのかもしれません。
受け継がれる姿勢と、これから
時代が変わっても、良い素材を誠実に扱うという基本は変わらない。松喜屋には、そうした一貫した姿勢が感じられます。派手さではなく、積み重ねてきた信頼で選ばれてきた存在。その背景を知ることで、一皿の味わいはより深いものになるでしょう。
特別な日の食事としてはもちろん、「本当に良い牛肉とは何か」を確かめたいときにも、松喜屋のすき焼きやしゃぶしゃぶは、静かにその答えを教えてくれるはずです。


