【皇室御用達】今右衛門窯 陶磁器

皇室御用達
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今泉今右衛門――色鍋島の正統を受け継ぐ、静かな到達点

日本の陶磁史の中で、「色鍋島」という名は特別な響きをもって語られてきました。
その系譜を、現代に至るまで連綿と受け継いできた名跡が、今泉今右衛門です。佐賀・有田に窯を構え、江戸期より続く色鍋島の美意識と技を、代々の当主が守り伝えてきた存在として知られています。

色鍋島は、もともと献上品として焼かれてきた背景を持ち、華美ではなく、極度に洗練された美を志向してきました。今泉今右衛門の作品には、その精神が今もなお静かに息づいているように感じられます。

色鍋島という様式――抑制の中に宿る華

色鍋島の特徴は、余白を大切にした構図と、限られた色数による緊張感のある表現にあります。
赤・黄・緑を基調とした上絵付けは、決して多弁ではありません。しかし、白磁の余白と呼応することで、かえって文様の存在感が際立つ――その均衡感覚こそが、色鍋島の本質とされてきました。

今泉今右衛門の器からは、図案そのものよりも、「どこまで描かないか」という判断の積み重ねが感じられます。その抑制こそが、見る者の視線を自然と器に留める理由なのかもしれません。

技の継承――白磁から上絵まで、一貫した思想

今右衛門窯では、色鍋島に不可欠な白磁の質を極めることが、まず重視されてきました。
澄んだ白、歪みのない成形、なめらかな釉調。その土台があってこそ、上絵の色彩と線が生きると考えられてきたからです。

さらに、上絵付けにおいても、代々の当主が工夫と試行錯誤を重ね、時代に応じた微細な改良を施してきたと伝えられています。変えるために変えるのではなく、守るために見直す。その姿勢が、今日の完成度につながっているように感じられます。

器としての今泉今右衛門――使われることを前提に

今泉今右衛門の作品は、美術館で鑑賞される対象である一方、器としての実用性も失っていません。
料理を盛ることで初めて完成する、という考え方は、色鍋島が本来持っていた「用の美」の延長線上にあるものです。

祝いの席や節目の食卓において、過度に主張せず、しかし確実に場の格を整える。その存在感は、「特別でありながら、使うことをためらわせない」という稀有なバランスを備えているように思われます。

おわりに――日本の美意識を、手に取るということ

今泉今右衛門の器は、時代や流行を語るものではありません。
むしろ、日本の美意識がどのように磨かれ、どのように継がれてきたのかを、静かに示してくれる存在です。

節目の一器として、あるいは長く使い続けるための器として。
理由のある陶磁を選びたいとき、今泉今右衛門という名は、今もなお確かな重みをもって思い浮かぶ存在であり続けているように感じられます。

画像出典
・今右衛門窯 公式サイト
 https://www.imaemon.co.jp/
(公式公開情報より)